FIG-0146 / 人物・神格(Figure) / 在地首長
箭括麻多智
Yahazu no Matachi
確度 A学術的定説
別名:箭括氏麻多智、麻多智、ヤハズノマタチ
常陸国風土記行方郡の条に、継体天皇の世に郡家の西の谷の葦原を開いて新たに田としたと記される人物である。妨げる夜刀神を、甲を着て自ら打ち殺し追い払ったのち、山の口に標の杖を立てて、ここより上は神の地、ここより下は人の田と境を定め、自ら祝となって永代に祀ると誓い社を設けたとされる。開拓者がそのまま祭祀者となることで在地の神との関係を結び直す形が、中央の神話にはない具体性で記録されている。子孫が代々この祭を継いだとも記され、氏族の祝職の由緒としての性格をもつ。
実在性の評価 実在は不明
常陸国風土記行方郡の条にのみ現れ、他の史料に対応する記録がないため検証手段がない。箭括氏は在地の氏族とみられ、夜刀神を祀る社の祝職の由来を語る伝承の主人公として造形された可能性が指摘されている。
この評価は、その存在が歴史的に実在したかについての学説の分布を示すものである。 実在しないことは、その物語が果たしてきた働きを少しも減じない。
祭祀と受容
祀られる側ではなく祀る側として記録された人物であり、常陸国風土記は自ら祝となって永代に祭を絶やさぬと誓い、子孫が代々これを継いだと記す。開拓者が神との境を定めたうえで祭祀者となるという形は、氏族が祖を祀って由緒を主張する構造の早い段階を示す記録として読まれてきた。