FIG-0149 / 人物・神格(Figure) / 神格
香香背男
Kagaseo
確度 A学術的定説
別名:天香香背男、星神香香背男、天津甕星、甕星香々背男
古事記
登場しない
日本書紀
天津甕星(亦の名を天香香背男・星神香香背男とする)
日本書紀の一書は葦原中国平定に先立ち、天に悪しき神あり名を天津甕星、亦の名は天香香背男と記し、まずこの神を誅してから地上を平らげようとする議を載せる。平定がほぼ終わったのちも星の神香香背男だけが服さず、倭文神建葉槌命を遣わしてようやく従ったとも記される。記紀の神々のうち天に属しながら天に抗する位置に立つ神は他になく、従わない者を天上にも配置するという構成そのものが異例である。常陸国風土記にこの神の名は見えないにもかかわらず、後世に常陸国大甕の地の伝承へ接続され、中央の平定神話が取りこぼした信仰の痕跡として読まれてきた。
実在性の評価 神話的存在
日本書紀神代下第九段の一書第二にのみ現れ、古事記には登場しない。記紀神話で唯一の星の神であり、天に属しながら服従しない位置に置かれる点について、天体祭祀をもつ在地集団の記憶とみる説と、平定譚の完結を強調するための文飾とみる説が分かれる。
この評価は、その存在が歴史的に実在したかについての学説の分布を示すものである。 実在しないことは、その物語が果たしてきた働きを少しも減じない。
祭祀と受容
単独で祀る社はなく、延喜式神名帳にも記載がない。日立市の大甕神社では制圧された側として境内の宿魂石にその名が結ばれ、封じられた神という形で祭祀の内部に位置を与えられている。まつろわぬ神としての読み方は近代以降に広まり、20世紀後半には創作や地域振興の場で参照されることが増えた。