FIG-0183 / 人物・神格(Figure) / 神格
トヨウケ
Toyouke
別名:豊受大御神、豊宇気毘売神、等由気大神、止由気大神、豊受気媛神、豊宇賀能売命(丹後国風土記逸文)
古事記が豊宇気毘売神として名を挙げる食物の神で、伊勢神宮外宮の祭神豊受大御神とされる。外宮の社伝である止由気宮儀式帳は、雄略天皇の夢に天照大神が現れ、丹波国比治の真名井にいる等由気大神を近くに呼び寄せよと告げたことによって迎えられたと記す。丹後国風土記逸文の奈具社縁起は、比治の真名井で水浴していた8人の天女の1人が羽衣を隠されて天に帰れず、老夫婦のために酒を造り、のちに奈具の村に鎮まって豊宇賀能売命と呼ばれたと伝え、この天女を豊受大神と同一とする理解が行われてきた。丹後の在地の女神が伊勢の外宮に迎えられたという構図は、丹後と王権の祭祀を結ぶ経路として語られる。
古事記は伊邪那美命から生まれた和久産巣日神の子とし、日本書紀には現れない。丹後国風土記逸文の奈具社の天女豊宇賀能売命との同一視は文献相互の対応についての解釈であり、歴史的実在を想定する対象ではない。
この評価は、その存在が歴史的に実在したかについての学説の分布を示すものである。 実在しないことは、その物語が果たしてきた働きを少しも減じない。
伊勢神宮外宮(豊受大神宮)の祭神であり、丹後では比沼麻奈為神社・籠神社奥宮の真名井神社・豊受大神社(福知山市大江町)・奈具社などが祀る。鎌倉後期に成立した伊勢神道(度会神道)は、度会行忠・度会家行らによって外宮の神を天之御中主神・国常立神と同一の始源神とし、外宮を内宮と同格またはそれ以上に位置づける教説を立てた。外宮の域外にある別宮の月夜見宮と重ねて豊受大神を月読に結ぶ解釈はここから派生したものであり、中世の神学に属する。記紀にはそうした記述はない。