NAR-0036 / 物語(Narrative) / カテゴリ:建国神話

ローマ建国神話

Roman Founding Myth

確度 B有力だが異説あり
発生年代
前753年(建国の伝承年)/前1世紀(ウェルギリウス・リウィウスによる文学的定式化)
発生地域
地中海世界
中核テキスト
(なし)
中核概念
主権国民天命
伝播経路
双子の建国者伝承とトロイアから逃れたアエネアスの系譜が、共和政末期から帝政初期にかけて文学と造形芸術により統合され、公的儀礼・貨幣・記念建造物を通じて帝国全域に流通した。中世以降は「ローマの継承」を主張する諸政体(東ローマ、神聖ローマ帝国、モスクワ第三ローマ論など)に繰り返し引用された。
現在の信奉者規模
消滅(国家祭祀としてのローマの宗教は古代末に途絶えており帰属人口という指標が適用できないため「消滅」と区分した。ただし物語自体は文学・美術・政治的修辞として現在も参照され続けている。建国年前753年はウァロによる遡及的算定であり、考古学的にはローマの集落形成はより漸進的であったことが確認されている。中核概念の「天命」は神意・運命(fatum)への近似で、中国的な天命思想とは系譜が異なる。)
対抗物語
(なし)
現代への影響
共和政、元老院、市民権といった制度語彙とともに、西欧の政治的自己叙述に繰り返し引用されてきた。近代イタリアの国家形成期や20世紀の政治運動による古代ローマの援用は、歴史の政治的利用を検討する研究の主要な事例である。

関連する関係レコード

習合 Syncretism キリスト教ローマ建国神話 確度B

エウセビオス以降の摂理史観がローマの普遍支配を神の計画のうちに位置づけ、建国以来の「永遠のローマ」という自己叙述がキリスト教的な救済史へ組み込まれた。ウェルギリウス的な使命の観念とキリスト教的終末観の接合は、中世の「ローマの継承」言説にも引き継がれた。アウグスティヌスのように地上の国と神の国の同一視を退ける有力な立場もあり確度はB。

成立:4〜6世紀 / 根拠:エウセビオス『コンスタンティヌスの生涯』; アウグスティヌス『神の国』(批判側); ピーター・ブラウン『古代末期の世界』