NAR-0054 / 物語(Narrative) / カテゴリ:物語論

物語形態論

Morphology of the Folktale

確度 A学術的定説
発生年代
1928年(ロシア語初版)/1958年(英訳)
中核テキスト
(なし)
中核概念
救済ダルマ進歩
伝播経路
アファナーシエフ編のロシア魔法昔話を資料に、登場人物の属性ではなく行為の機能を単位として物語構造を記述する方法が提示された。1958年の英訳を機に、レヴィ=ストロースとの論争を経て構造主義的な物語論(グレマス、ブレモン、バルト)へ接続し、以後は民俗学のほか脚本論、ゲームデザイン、計算論的な物語分析にも応用されている。
現在の信奉者規模
測定不能(学説であり帰属人口の統計がない。分析対象はロシアの魔法昔話に限定されており、31の機能をあらゆる物語へ一般化できるかは論争点である。中核概念は機能・行為項・移動といった中心語彙が本表のCONにないため、既存のNAR-0021 単一神話論(英雄の旅)の記載に揃えた近似にとどまり、対応は弱い。成立地はレニングラード(ロシア)で本表のREG項目に該当がないため、西ヨーロッパを暫定的に参照した。)
対抗物語
(なし)
現代への影響
物語を有限個の機能の連鎖として形式化する発想は物語論の基礎をなし、物語の自動生成や大規模コーパスの分析にも用いられている。単一神話論と並んで物語の普遍構造をめぐる議論の一方の極を占めるが、両者は資料も方法も異なる独立の系譜である。

関連する関係レコード

対立 Opposition 物語形態論大きな物語の終焉 確度B

有限個の機能の連鎖として物語の普遍文法を記述しうるとする立場と、物語の正統化機能および普遍的記述の可能性そのものを疑う立場の対立。両者が直接論争した史実はなく、構造主義に対する後続世代の批判という理論的含意の水準での対立である(既存のREL-0016と同型の限定)。なお、リオタールの「大きな物語」は科学と解放をめぐる正統化の物語を指し、プロップの分析対象である説話の形態とは指示対象が異なるため、両者を同一平面の「物語」として対置することには留保が要る。

成立:1970年代〜1980年代 / 根拠:ジャン=フランソワ・リオタール『ポスト・モダンの条件』; ロラン・バルト『S/Z』; クロード・レヴィ=ストロース「構造と形式——ウラジーミル・プロップの著作についての考察」