NAR-0022 / 物語(Narrative) / カテゴリ:物語論

大きな物語の終焉

The End of Grand Narratives

確度 A学術的定説
発生年代
1979年
発生地域
西ヨーロッパ
中核テキスト
(なし)
中核概念
進歩、救済、無限成長
伝播経路
1979年のリオタール『ポストモダンの条件』と1984年の英訳を通じて人文社会科学に広がり、歴史学、建築、文学批評における正統化論の再検討として受容された。
現在の信奉者規模
測定不能(学術的立場であり帰属人口の統計が存在しない。中核概念は、リオタールが例示した大きな物語(精神の弁証法、解放、富の創出)を既存CONに対応させたもの。)
対抗物語
科学革命
現代への影響
知の正統化を単一の物語に求めない立場は、多元主義的な学術・文化の語彙となった。同時に、相対主義との関係や、この診断自体が一つの大きな物語ではないかという批判も継続している。

関連する関係レコード

派生 Derivation 大きな物語の終焉 → ポスト・トゥルース 確度B

メタ物語への不信と真理の言語ゲーム化という議論が通俗化し、事実主張の相対化を許容する言説環境の形成に寄与したとされる。ポストモダニズムを主因とする説明には当事者からの反論もあり、争いがある。

成立:1990年代〜2016年 / 根拠:リー・マッキンタイア『ポストトゥルース』; ブルーノ・ラトゥール「批判はなぜ力を失ったのか」

対立 Opposition ドイツ観念論 → 大きな物語の終焉 確度A

リオタールは正統化装置としての「精神の弁証法」を大きな物語の代表例として名指し、その普遍史的主張を不信の対象とした。批判対象が明示されている点で対立関係は明確である。

成立:1979年 / 根拠:ジャン=フランソワ・リオタール『ポスト・モダンの条件』

対立 Opposition 単一神話論(英雄の旅) → 大きな物語の終焉 確度B

あらゆる文化の神話に単一の普遍構造を見出す立場と、普遍的物語の正統化機能そのものを疑う立場の対立。両者が直接論争した史実はなく、理論的含意の水準での対立である。

成立:1979年以降 / 根拠:リオタール『ポスト・モダンの条件』; ロバート・A・シーガル『ジョーゼフ・キャンベル入門』

対立 Opposition 物語形態論 → 大きな物語の終焉 確度B

有限個の機能の連鎖として物語の普遍文法を記述しうるとする立場と、物語の正統化機能および普遍的記述の可能性そのものを疑う立場の対立。両者が直接論争した史実はなく、構造主義に対する後続世代の批判という理論的含意の水準での対立である(既存のREL-0016と同型の限定)。なお、リオタールの「大きな物語」は科学と解放をめぐる正統化の物語を指し、プロップの分析対象である説話の形態とは指示対象が異なるため、両者を同一平面の「物語」として対置することには留保が要る。

成立:1970年代〜1980年代 / 根拠:ジャン=フランソワ・リオタール『ポスト・モダンの条件』; ロラン・バルト『S/Z』; クロード・レヴィ=ストロース「構造と形式——ウラジーミル・プロップの著作についての考察」

派生 Derivation 大きな物語の終焉 → ポストヒューマニズム 確度B

普遍的な人間主体を前提とする大きな物語への懐疑が、人間と機械・動物・環境の境界を問い直す議論の前提を用意した。フーコーの「人間の終焉」の定式がポストヒューマニズムの出発点として繰り返し参照される。

成立:1980年代〜1990年代 / 根拠:ミシェル・フーコー『言葉と物』(1966)結語; ロージ・ブライドッティ『ポストヒューマン』(2013)