FIG-0143 / 人物・神格(Figure) / 神格
和加布都努志命
Wakafutsunushi no Mikoto
確度 A学術的定説
別名:和加布都努志能命、和加布都怒志命、若布都主神、ワカフツヌシ
出雲国風土記に、天の下所造らしし大神すなわち大穴持命の御子として現れ、意宇郡や出雲郡美談郷などの地名起源に結ばれる神である。狩猟と農耕にかかわる神格として在地に祀られ、内神社・美談神社などがその名を伝える。日本書紀の経津主神と名の要素を共有するが、出雲側の記述には国譲りの使者としての性格がなく、同神とみる説と別神とみる説が分かれる。記紀が語らない大穴持命の子神の系譜が、出雲では独自に展開していたことを示す。
実在性の評価 神話的存在
出雲国風土記の意宇郡や出雲郡美談郷など複数の条に「所造天下大神の御子」として現れる神で、歴史的実在は想定されない。日本書紀の経津主神と名の要素を共有することから同神とする説があるが、出雲側の記述に国譲りの武神としての性格はなく、別神とみる見方が主流である。
この評価は、その存在が歴史的に実在したかについての学説の分布を示すものである。 実在しないことは、その物語が果たしてきた働きを少しも減じない。
祭祀と受容
松江市の内神社と出雲市の美談神社がこの神を祀り、いずれも出雲国風土記に見える社に由来する。名の要素を共有する日本書紀の経津主神と同一視する説は後代に現れるが、風土記の記述に国譲りの使者としての性格はない。大穴持命の御子神という出雲独自の系譜が、中央の神統譜へ吸収されずに社名と祭神表記の形で残った例である。