NAR-0053 / 物語(Narrative) / カテゴリ:物語論
想像の共同体
Imagined Communities
確度 A学術的定説
発生年代
1983年(初版)/1991年(増補版)
中核テキスト
伝播経路
1983年にロンドンで刊行され、国民を「想像された政治的共同体」と定義したうえで、出版資本主義、植民地官僚の巡礼的な経歴、地図・国勢調査・博物館を媒介とする成立過程が論じられた。30以上の言語に翻訳され、歴史学、人類学、政治学、地域研究の標準的な参照文献となっている。
現在の信奉者規模
測定不能(学説であり帰属人口の統計がない。国民の近代的な構築性という主張は広く共有されているが、前近代的な民族的紐帯を重視するエスノシンボリズムからの異論があり、この点は既存のNAR-0017 ナショナリズムの記載と対応する。中核概念は出版資本主義・同時性・巡礼といった中心語彙が本表のCONにないため近似にとどまる。)
対抗物語
(なし)
現代への影響
国民の自然性を前提とする歴史叙述を批判的に検討する枠組みを提供し、メディアと集合的アイデンティティの関係を論じる研究の出発点となっている。ナショナリズムとの関係は系譜的な派生ではなく分析的な観察であり、デジタル・メディア環境における共同体形成の分析にも援用されている。
関連する関係レコード
対立 Opposition 想像の共同体 → 日本の建国神話(記紀と万世一系) 確度B
国民の起源を近代における構築の産物として説明する立場と、神代からの連続を自明の前提とする立場は、同じ対象について両立しない説明を与える。日本におけるこの対立は、津田左右吉が神代から仲哀天皇までを史実としての資料的価値をもたないとし、神話を6世紀に皇室支配の正当化のため創作されたものと論じたことに典型的に現れ、1940年の著書4冊の発禁と出版法違反による起訴(1942年に禁錮3か月・執行猶予2年、1944年に時効により免訴)という帰結を招いた。戦後、津田の史料批判の方法と基本結論は史学の定説の基礎となったが、考古学・民俗学の知見を軽視した主観的合理主義であるという批判も残る。本エッジは特定の学説名ではなく、構築主義的な説明と起源の自明視という二つの立場の対抗を記録する。