NAR-0074 / 物語(Narrative) / カテゴリ:国家思想

イスラーム法治の思想

Islamic Legal Governance

確度 B有力だが異説あり
発生年代
7〜9世紀(法源論と法学派の成立)/11世紀以降(マーワルディー以降の統治規範論の体系化)
伝播経路
ウマイヤ朝・アッバース朝下で法学派(ハナフィー、マーリキー、シャーフィイー、ハンバリーおよびジャアファリー)が形成され、カーディー(法官)とワクフ(寄進財)の制度を通じて統治の実務に組み込まれた。オスマン帝国のカーヌーン、ムガル帝国の法制、西アフリカ・東南アジアのスルタン国へ広がり、19世紀以降は法典化と西欧法の継受により身分法を中心とする領域へ再編された。
現在の信奉者規模
測定不能(統治思想であり帰属人口の統計がない。Pew Research Center の2013年報告『The World's Muslims: Religion, Politics and Society』はシャリーアの国法化への支持率を国別に示しているが、シャリーアの語で回答者が想定する内容は国により大きく異なると同報告自身が注記しており、支持率を信奉者規模とみなすことはできない。)
現代への影響
多くのムスリム多数派国で家族法・相続法の基礎として現行法に組み込まれている。イスラーム金融、憲法における法源規定、国際人権規範との調整をめぐる議論の主要な参照枠でもある。

関連する関係レコード

派生 Derivation イスラームイスラーム法治の思想 確度A

啓示と預言者の慣行を法源とする体系化が進み、シャーフィイー以降の法源論のもとで法学派が成立して統治の実務規範となった。信仰の物語が法と統治の物語へ展開した派生である。

成立:7〜9世紀 / 根拠:Wael Hallaq, The Origins and Evolution of Islamic Law; 中田考『イスラーム法とは何か』

対立 Opposition トルコ共和国の物語(ケマリズム)イスラーム法治の思想 確度A

カリフ制の廃止、宗教法廷の廃止とスイス民法の継受により、法源を啓示に求める枠組みが国家法から切り離された。以後、世俗主義の憲法的位置づけをめぐる論争がトルコ政治の主要な軸となっている。

成立:1924年〜現在 / 根拠:Erik J. Zürcher, Turkey: A Modern History; Niyazi Berkes, The Development of Secularism in Turkey