関連する関係レコード
派生 Derivation
キリスト教
→
イスラーム
確度B
後期古代のアラビア半島とその周辺にはユダヤ教・キリスト教の共同体と聖書的物語群が広く流通しており、クルアーンはこれらの人物や主題を共有しつつ独自の啓示理解を提示した。イスラーム側の自己理解では派生ではなく本来の一神教の回復とされるため、ここでの「派生」は共通の宗教的環境からの歴史的連続性を指すにとどまり確度はB。系譜はユダヤ教→キリスト教→イスラームの順で記述し、ショートカット禁止規則によりユダヤ教→イスラームの直接エッジは張らない(ユダヤ教側からの独立した影響が大きい点は留保として記す)。
成立:7世紀 / 根拠:アンジェリカ・ノイヴィルト『Der Koran als Text der Spätantike』; フレッド・ドナー『Muhammad and the Believers』; シドニー・グリフィス『The Bible in Arabic』
派生 Derivation
イスラーム
→
スーフィズム
確度B
クルアーンとハディースの内面的読解を通じて、神への愛と自己浄化を中心に据える実践がイスラーム内部の潮流として形成された。ガザーリーが法学・神学との整合を論じたことで、正統的な枠内の道として位置づけられた。
成立:8〜9世紀 / 根拠:Annemarie Schimmel, Mystical Dimensions of Islam; 東長靖『イスラームとスーフィズム』
派生 Derivation
イスラーム
→
イスラーム法治の思想
確度A
啓示と預言者の慣行を法源とする体系化が進み、シャーフィイー以降の法源論のもとで法学派が成立して統治の実務規範となった。信仰の物語が法と統治の物語へ展開した派生である。
成立:7〜9世紀 / 根拠:Wael Hallaq, The Origins and Evolution of Islamic Law; 中田考『イスラーム法とは何か』
習合 Syncretism
イスラーム
→
シク教
確度B
神の唯一性、偶像崇拝の否定、平等な礼拝共同体という主題は、当時のパンジャーブにおけるスーフィー教団との接触の文脈で語られてきた。グル・グラント・サーヒブにはスーフィー詩人の詩篇も収録されている。他方、シク教を二つの宗教の混合として説明する枠組み自体を、教団側は一貫して否認している。
成立:15〜16世紀 / 根拠:グル・グラント・サーヒブ所収のシャイフ・ファリードの詩篇; W.H. マクロード『Sikhism』(1997)
派生 Derivation
イスラーム
→
シーア派
確度A
預言者没後の共同体の指導権をめぐる問いに対し、指導は預言者の家系に帰属するという理解が形成され、イマームの権威、法源、儀礼暦を備えた体系として成立した。680年のカルバラーの出来事がこの理解を記憶と儀礼の水準で確定させた。
成立:7世紀〜10世紀 / 根拠:モーメン『An Introduction to Shi'i Islam』(1985); ウィルファード・マーデルング『The Succession to Muhammad』(1997)
派生 Derivation
イスラーム
→
スンナ派
確度A
同じ問いに対し、指導権は共同体の合意によって選出されるとする理解が形成され、預言者の慣行(スンナ)を伝えるハディースの学と四法学派の体系として制度化された。「スンナと共同体の徒」という自己規定はこの過程で定着した。
成立:7世紀〜9世紀 / 根拠:マーシャル・ホジソン『イスラームの冒険』(1974); ジョナサン・ブラウン『Hadith』(2009)