NAR-0095 / 物語(Narrative) / カテゴリ:宗教

シーア派

Shia Islam

確度 A学術的定説
発生年代
632年(預言者没後の後継をめぐる分岐)/680年(カルバラーの戦い)/8〜10世紀の法学・神学の体系化
中核テキスト
クルアーン
伝播経路
共同体の指導権が預言者の家系(アリーとその子孫)に属するという理解を軸に、イラク南部を主要な形成の場として法学と神学が体系化された。16世紀のサファヴィー朝によるイランでの国教化が分布を決定づけ、以後イラク、レバノン、湾岸諸国、南アジアの共同体へと巡礼・学統・移民の経路で結ばれている。
現在の信奉者規模
1億〜10億(Pew Research Center の2009年推計でムスリム全体の10〜13%、約1億5,000万〜2億人。イラン、アゼルバイジャン、イラク、バーレーンで多数派を占める。十二イマーム派、イスマーイール派、ザイド派など内部の分岐が大きく、単一の集計には幅がある。)
対抗物語
スンナ派
現代への影響
イランの1979年以降の統治体制における法学者の権威をめぐる議論、イラクとレバノンの政治構造、湾岸地域の地域間関係に関わっている。カルバラーの記憶を核とする追悼儀礼は、宗教的実践であると同時に、抑圧への抵抗の語彙としても用いられてきた。

関連する関係レコード

派生 Derivation イスラームシーア派 確度A

預言者没後の共同体の指導権をめぐる問いに対し、指導は預言者の家系に帰属するという理解が形成され、イマームの権威、法源、儀礼暦を備えた体系として成立した。680年のカルバラーの出来事がこの理解を記憶と儀礼の水準で確定させた。

成立:7世紀〜10世紀 / 根拠:モーメン『An Introduction to Shi'i Islam』(1985); ウィルファード・マーデルング『The Succession to Muhammad』(1997)

対立 Opposition スンナ派シーア派 確度A

両者の分岐は、教義の優劣ではなく、共同体の指導権の正統性をどこに求めるか(合意か家系か)という政治的・法的な問いへの異なる回答に起源をもち、そこから法源論・儀礼・歴史記憶の差異が展開した。分岐が政治的対立として前景化する度合いは時代と地域で大きく異なり、16世紀のサファヴィー朝とオスマン朝の対抗、および20世紀後半以降の地域政治が、対立を強調する条件を形成した。

成立:7世紀〜16世紀 / 根拠:ウィルファード・マーデルング『The Succession to Muhammad』(1997); ヴァリ・ナスル『The Shia Revival』(2006)