FIG-0123 / 人物・神格(Figure) / 氏族祖
天火明命
Ame-no-Hoakari no Mikoto
確度 B有力だが異説あり
別名:天照国照彦火明命、火明命、彦火明命、天照国照彦天火明櫛玉饒速日尊、膽杵磯丹杵穂命
古事記
天火明命
日本書紀
天照国照彦火明命/火明命
古事記はアメノオシホミミの子でニニギの兄とし、尾張連等の祖と記す。日本書紀は本文と一書のあいだで系譜が揺れ、ニニギの子とする伝えも併記する。先代旧事本紀「天孫本紀」はこの神の名を天照国照彦天火明櫛玉饒速日尊とし、饒速日命と同一の神として尾張氏と物部氏を一つの祖に結ぶが、記紀は両者を別の神として扱っており、いずれを採るかは決着していない。名の重なりが異なる氏族の天孫系譜の接続点として働いた例とみることができる。
実在性の評価 神話的存在
尾張連・海部直・津守連らの祖神で、歴史的実在は想定されない。丹後国一宮籠神社に伝わる海部氏系図はこの神を始祖に置き、現存する写本は平安初期にさかのぼるとされるが、氏族が自らの由緒として伝えた系譜であり外部から検証する手段はない。
この評価は、その存在が歴史的に実在したかについての学説の分布を示すものである。 実在しないことは、その物語が果たしてきた働きを少しも減じない。
祭祀と受容
丹後国一宮の籠神社は延喜式神名帳に名神大として載り、彦火明命を主祭神として海部氏が宮司を世襲し、現存最古の系図とされる国宝の海部氏系図を伝える。尾張国一宮の真清田神社も名神大の社で天火明命を祭神とし、尾張氏の祖神祭祀を受け継ぐ。先代旧事本紀が饒速日命と同一とすることで尾張氏と物部氏が一つの祖に結ばれるため、この神名は複数の氏族の由緒が接続する場所となってきた。