FIG-0131 / 人物・神格(Figure) / 氏族祖

稲飯命

Inahi no Mikoto

確度 A学術的定説

別名:稲氷命、彦稲飯命

古事記
稲氷命
日本書紀
稲飯命(彦稲飯命)

ウガヤフキアエズとタマヨリビメの子で、イツセ・三毛入野命・神武天皇の兄弟にあたる。古事記は母の国であるとして海原に入ったと簡潔に記し、日本書紀は熊野で暴風に遭った際に、祖は天神・母は海神であるのになぜ陸と海の双方で苦しめるのかと述べて剣を抜き海へ入り、鋤持神となったと伝える。新撰姓氏録の逸文はこの人物を新羅の国主の祖とする伝えを載せ、渡来にかかわる氏族の由緒を皇統へ接続する。4人の兄弟のうち3人が退場して末子が即位するという構成の一環をなす。

実在性の評価 実在は否定的

ウガヤフキアエズの子として記紀の系譜にのみ現れ、外部史料による裏づけはない。神武東征譚そのものを後世の構成とみるのが津田左右吉以来の通説であり、この人物もその配置の一部として理解される。新撰姓氏録の逸文が新羅国王の祖とする記述も、9世紀の氏族が自らの由緒として提出した系譜の一環にあたる。

この評価は、その存在が歴史的に実在したかについての学説の分布を示すものである。 実在しないことは、その物語が果たしてきた働きを少しも減じない。

祭祀と受容

祀られる社は乏しい。新撰姓氏録の逸文がこの人物を新羅の国主の祖とする伝えを載せることは、渡来系氏族の由緒を皇統へ接続する経路として近代以降にくり返し論じられてきた。

種別
氏族祖
役割
犠牲
系譜(子)
(記載なし)
配偶
(記載なし)
初出テキスト
古事記
登場テキスト
古事記日本書紀