FIG-0132 / 人物・神格(Figure) / 氏族祖
三毛入野命
Mikeirino no Mikoto
確度 A学術的定説
別名:御毛沼命、三毛野命、稚三毛野命、ミケヌ
古事記
御毛沼命
日本書紀
三毛入野命
ウガヤフキアエズとタマヨリビメの子で、神武天皇の兄にあたる。古事記は波の穂を踏んで常世国へ渡ったと記し、日本書紀は熊野で暴風に遭った際に恨みの言葉を残して常世郷へ去ったと伝える。宮崎県高千穂の高千穂神社には、この人物が常世からこの地へ戻って鬼八を退治したとする伝承が伝わるが、これは中世以降に地域で形成されたもので記紀には見えない。兄弟のうち唯一死なずに退場し、海の彼方の常世との往還を担う存在として置かれる。
実在性の評価 実在は否定的
記紀の系譜にのみ現れ、外部史料による裏づけはない。津田左右吉以来、神武東征譚は後世の構成とみられており、常世郷へ去ったとする記述も末子が王位に就く筋を整えるための配置と解される。
この評価は、その存在が歴史的に実在したかについての学説の分布を示すものである。 実在しないことは、その物語が果たしてきた働きを少しも減じない。
祭祀と受容
宮崎県の高千穂神社はこの人物を含む高千穂皇神を祀り、中世には高千穂十八郷八十八社の総社として神仏習合のもとで十社大明神と称された。常世から戻って鬼八を退治したとする伝承に基づく猪掛祭と、重要無形民俗文化財の高千穂の夜神楽が現在も行われている。記紀が退場させた兄が、地方では戻ってくる神として祀られ続けた例である。