NAR-0023 / 物語(Narrative) / カテゴリ:物語論

ポスト・トゥルース

Post-Truth

確度 B有力だが異説あり
発生年代
1992年(語の初出とされる用例)/2016年(概念の普及)
中核テキスト
(なし)
中核概念
進歩国民主権
伝播経路
1992年の用語の初出を経て、2016年前後の選挙・国民投票をめぐる報道と、オックスフォード英語辞典による「今年の言葉」選定によって広く流通した。ソーシャルメディアのアルゴリズム的な情報配信が、拡散の条件として論じられている。
現在の信奉者規模
測定不能(現象への帰属という概念が成立しにくく、規模の推計に適した指標がない。中核概念は真理・信頼といった中心語彙が本表のCONに存在せず、対応は弱い。1992年の用例は辞書類が現在知られている最初期のものとして挙げるものであり、初出の確定ではない。概念の新規性(宣伝・世論操作の歴史との断絶の有無)と測定可能性については学説が分かれる。)
対抗物語
科学革命
現代への影響
情報の信頼性、プラットフォーム規制、メディアリテラシー教育をめぐる政策議論の枠組みとなっている。歴史学・政治学では、宣伝や世論操作の歴史との連続性の観点から検討が進んでいる。

関連する関係レコード

派生 Derivation 大きな物語の終焉ポスト・トゥルース 確度B

メタ物語への不信と真理の言語ゲーム化という議論が通俗化し、事実主張の相対化を許容する言説環境の形成に寄与したとされる。ポストモダニズムを主因とする説明には当事者からの反論もあり、争いがある。

成立:1990年代〜2016年 / 根拠:リー・マッキンタイア『ポストトゥルース』; ブルーノ・ラトゥール「批判はなぜ力を失ったのか」

対立 Opposition 科学革命ポスト・トゥルース 確度B

実験・査読・再現性による事実確定の権威を掲げる物語と、事実主張を党派的帰属や情動の従属変数とみなす言説状況の対立。気候変動・公衆衛生をめぐる論争で顕在化した。

成立:1990年代〜2010年代 / 根拠:リー・マッキンタイア『ポストトゥルース』; オレスケス&コンウェイ『世界を騙しつづける科学者たち』

派生 Derivation インターネットポスト・トゥルース 確度B

情報の複製と配信の費用が消滅し、editorial な選別を経ない流通経路が一般化したことで、事実の共有された認定手続そのものが争点化した。ただし政治的分極化の主因を技術に帰す説明には実証的な留保が示されている。

成立:2000年代〜2010年代 / 根拠:Yochai Benkler et al., Network Propaganda; Hunt Allcott & Matthew Gentzkow, Social Media and Fake News in the 2016 Election