NAR-0007 / 物語(Narrative) / カテゴリ:サピエンス

科学革命

The Scientific Revolution

確度 B有力だが異説あり
発生年代
1543年〜1687年
発生地域
西ヨーロッパ
中核テキスト
(なし)
伝播経路
学会、学術誌、書簡による学者共同体のネットワークを通じてヨーロッパ内で共有され、19世紀以降は大学制度、技術教育、広域的な調査事業を通じて各地へ移植された。日本では蘭学から明治期の学制へと接続した。
現在の信奉者規模
測定不能(帰属という単位が適用しにくい。時期区分(1543年のコペルニクスから1687年のニュートンまで)を革命として一括する枠組み自体に、連続説からの有力な異説がある。中核概念のうち「天賦人権」は啓蒙思想を介した間接的な結びつきで、対応は弱い。)
現代への影響
実験と数学的定式化に基づく知識生産の様式が、医療、工学、政策評価の標準となった。他方で専門知の権威と社会的受容をめぐる論争も継続している。

関連する関係レコード

対立 Opposition 科学革命 → ポスト・トゥルース 確度B

実験・査読・再現性による事実確定の権威を掲げる物語と、事実主張を党派的帰属や情動の従属変数とみなす言説状況の対立。気候変動・公衆衛生をめぐる論争で顕在化した。

成立:1990年代〜2010年代 / 根拠:リー・マッキンタイア『ポストトゥルース』; オレスケス&コンウェイ『世界を騙しつづける科学者たち』

習合 Syncretism 帝国 → 科学革命 確度B

探検・測量・博物学・統計・医学が帝国統治の道具として制度化され、同時に帝国が科学に資金・標本・実験場を供給する相互強化の複合が成立した。宗教的習合とは位相が異なる比喩的用法であり、種別の当てはめには判断が入る。

成立:18〜19世紀 / 根拠:ハラリ『サピエンス全史』; ダニエル・R・ヘッドリク『帝国の手先』; バーナード・コーン『Colonialism and Its Forms of Knowledge』

派生 Derivation 科学革命 → エコモダニズム 確度B

実験と定量化に基づく知識が自然の制約を反復的に押し広げてきたとする叙述が、環境問題の解決を技術的能力の向上に求める立場として再定式化された。エコモダニズムの直接の背景は20世紀後半の環境政策論争であり、本エッジは中間項を省いた長距離の系譜として、前提となる知識観の継承という水準にとどまる記述である。この系譜づけは批判側(ハミルトン)がプロメテウス的・ベーコン的伝統の継承として指摘する点と対応するが、当事者の自己記述が必ずしもこれを認めているわけではない。

成立:2004年〜2015年 / 根拠:『エコモダニスト宣言』(2015); テッド・ノードハウス&マイケル・シェレンバーガー『Break Through』; クライヴ・ハミルトン「The Technofix Is In」(批判側)

派生 Derivation 科学革命 → 産業革命 確度B

実験と定量化の作法、大気圧や熱に関する知見、技術者と自然哲学者の交流圏が、蒸気機関と製鉄の改良に転用された。資本蓄積と市場の拡大が並行する条件であったことは広く認められており、科学を直接の原因とみるか一条件とみるかについては、実用的職人知の役割を重視する見方との間で論争がある。

成立:1760年代〜1840年代 / 根拠:Margaret Jacob, Scientific Culture and the Making of the Industrial West; Joel Mokyr, The Enlightened Economy

派生 Derivation 科学革命 → インターネット 確度B

冷戦期の公的研究資金に支えられた計算機科学と、査読と公開を旨とする学術的な情報共有の作法が、パケット交換網とオープンな仕様策定(RFC)の設計思想に反映された。CERNでのWWW開発も研究者間の文書共有の必要から生じている。

成立:1960年代〜1990年代 / 根拠:Janet Abbate, Inventing the Internet; Katie Hafner & Matthew Lyon, Where Wizards Stay Up Late

派生 Derivation 科学革命 → トランスヒューマニズム 確度B

自然を操作可能な対象として記述する科学的世界像を人間自身に適用し、生物学的制約を技術的に改変可能な条件として捉える構えが成立した。進化を人間が引き継ぐという定式は、20世紀の進化生物学の普及と不可分である。

成立:20世紀後半 / 根拠:ジュリアン・ハクスリー『New Bottles for New Wine』(1957); ニック・ボストロム "A History of Transhumanist Thought" (2005)

派生 Derivation 科学革命 → 地球外文明論(フェルミのパラドックス) 確度B

宇宙の均質性と物理法則の普遍性を前提とする科学的世界像が、地球が特別な場所ではないという想定を導き、他所にも文明が存在しうるという推論と、それが観測されないことの逆説を生んだ。電波天文学の成立が探査を観測計画として制度化した。

成立:20世紀半ば / 根拠:フランク・ドレイク & デイヴァ・ソベル『Is Anyone Out There?』(1992); スティーヴン・ウェッブ『広い宇宙に地球人しか見当たらない75の理由』(2002)

派生 Derivation 科学革命 → ミーム論 確度B

自然選択による進化の説明形式を、遺伝子以外の複製子へ一般化する試みとして提示された。科学的説明を文化の領域へ拡張する構えは、19世紀以来の自然科学の説明様式の延長上にある。

成立:1970年代 / 根拠:リチャード・ドーキンス『利己的な遺伝子』(1976)第11章; ダニエル・デネット『ダーウィンの危険な思想』(1995)