NAR-0026 / 物語(Narrative) / カテゴリ:宗教

ユダヤ教

Judaism

確度 B有力だが異説あり
発生年代
前13世紀頃(先行する伝承)/前6世紀(捕囚期の再編と成文化)
中核テキスト
ヘブライ語聖書
中核概念
救済終末論主権国民
伝播経路
王国期の祭祀が捕囚と第二神殿期を通じて律法を中心とする宗教へ再編され、ヘレニズム期以降は地中海世界各地のディアスポラ共同体へ広がった。70年の神殿崩壊後はラビ・ユダヤ教としてミシュナ・タルムードの学統により継承され、中世には西アジア・北アフリカ・ヨーロッパで異なる伝統(セファルディム、アシュケナジムなど)が形成された。
現在の信奉者規模
1,000万〜1億(Pew Research Center の2010年代の推計で約1,400万人。世界人口比では約0.2%で区分の下限に近い。唯一神信仰の成立時期については捕囚期成立説と早期成立説があり、発生年代の確度は低い。中核概念の「国民」は契約共同体としての「民」への近似であり、近代的な国民概念とは系譜が異なる。)
対抗物語
(なし)
現代への影響
律法解釈の伝統は宗教法・生命倫理の議論に継承され、ヘブライ語聖書は他の二つのアブラハム系宗教の共通の参照点となった。20世紀のホロコーストの記憶と国家イスラエルの成立は、宗教共同体と近代国家の関係をめぐる議論の主要な主題である。

関連する関係レコード

派生 Derivation ゾロアスター教ユダヤ教 確度B

アケメネス朝支配下での接触を通じて、善と悪の宇宙的対立、審判、死者の復活、救済者の到来といった主題がユダヤ教の終末論的言説に取り込まれたとする系譜。ここでの「派生」はユダヤ教の起源ではなく思想的影響の水準を指す。影響の方向と規模には根強い異論があり確度はB。なお多段派生のショートカット禁止規則により、ゾロアスター教からキリスト教・イスラームへの直接のエッジは張らない。

成立:前6世紀〜前4世紀 / 根拠:メアリー・ボイス『ゾロアスター教』; シャウル・シェイクド『From Zoroastrian Iran to Islam』; ジョン・J・コリンズ『The Apocalyptic Imagination』

派生 Derivation ユダヤ教キリスト教 確度A

第二神殿期ユダヤ教内部のメシア運動として始まった集団が、律法遵守と異邦人の受け入れをめぐる論争を経て別個の宗教共同体として分立した。分離を1世紀の出来事とみるか2〜4世紀の漸進的過程とみるか(「道の分かれ」論争)については議論があるが、系譜そのものは学術的に確立している。

成立:1世紀 / 根拠:E.P.サンダース『イエスとユダヤ教』; ジェイムズ・D.G.ダン『The Partings of the Ways』; ダニエル・ボヤーリン『Border Lines』

派生 Derivation ユダヤ教イスラエル建国の物語(シオニズム) 確度B

シオンへの帰還という宗教的希求と典礼上の記憶が、近代の民族自決の枠組みへ翻案されたとする系譜。政治的シオニズムの主導層の多くは世俗的立場をとり、他方で正統派の一部は人為的な帰還を宗教的理由から否認したため、宗教からの単線的な派生とはいえず確度はB。

成立:1882年〜1897年 / 根拠:シュロモー・アヴィネリ『The Making of Modern Zionism』; ヤコブ・カッツ『Jewish Emancipation and Self-Emancipation』; アニタ・シャピラ『Israel: A History』