NAR-0029 / 物語(Narrative) / カテゴリ:宗教

ヒンドゥー教

Hinduism

確度 B有力だが異説あり
発生年代
前1500年頃(ヴェーダ文献の成立期)〜前後数世紀(古典的形態の形成)
発生地域
インド亜大陸
中核テキスト
リグ・ヴェーダ
中核概念
ダルマ輪廻救済階級
伝播経路
ヴェーダ祭祀とウパニシャッドの思索、叙事詩とプラーナ文献、中世のバクティ運動という複数の層が積み重なって形成され、南アジア全域へ広がった。前後数世紀には王権儀礼とともに東南アジア(カンボジア、ジャワなど)へ伝わり、19世紀以降は年季奉公労働者の移動によりカリブ海・南アフリカ・フィジー等へ、20世紀後半には移民により欧米へ広がった。
現在の信奉者規模
10億超(Pew Research Center の2010年推計で約10億3,000万人。単一の創始者・教団・正典をもたない複合的な伝統であり、「ヒンドゥー教」という単一宗教としての括り方自体が19世紀の植民地統計と近代改革運動のなかで定着したとする有力な研究がある(確度をBとした理由)。中核概念の「階級」はヴァルナ・ジャーティへの近似であり、対応は暫定的。)
対抗物語
(なし)
現代への影響
南アジアの法制度、暦、生活慣行に広く関与し、ヨーガや瞑想の実践は世俗的な形で国際的に普及した。宗教的帰属と国民的帰属を結びつける現代の政治潮流とこの伝統の関係は、活発な学術的論争の対象である。

関連する関係レコード

派生 Derivation ヒンドゥー教仏教 確度B

業・輪廻・解脱という共通の問題設定はヴェーダからウパニシャッドに至る宗教的環境で形成され、仏教はそこから出家沙門の運動として分岐した。ただし当時「ヒンドゥー教」という統一体は存在せず、仏教はバラモン的祭祀と権威を批判する立場から出発したため、本エッジは後代の統一体を親とする主張ではなく、共通の宗教的地層からの分岐という水準の記述である。沙門的実践の起源をヴェーダ文化圏の外部(大マガダ)に求め、この系譜づけ自体を退けるブロンクホルストらの異説がある。

成立:前5世紀頃 / 根拠:リチャード・ゴンブリッチ『How Buddhism Began』; ヨハネス・ブロンクホルスト『Greater Magadha』; 中村元『インド思想史』

派生 Derivation ヒンドゥー教インドの建国神話(非暴力と多元主義) 確度B

ガンディーは『バガヴァッド・ギーター』を非執着の行為の書として読み替え、アヒンサーと自己受苦を政治的抵抗の技法へ転化した。ヒンドゥー的語彙による普遍的倫理の提示という形をとった点に派生の特徴がある。

成立:1900年代〜1940年代 / 根拠:ガンディー『ヒンド・スワラージ』; Ashis Nandy, The Intimate Enemy

習合 Syncretism ヒンドゥー教シク教 確度B

北インドのバクティ(信愛)運動とサント(聖者)詩人の伝統、輪廻と業をめぐる語彙が、シク教の教えとグル・グラント・サーヒブの詩篇に受け継がれている。ただしシク教の自己理解では、この伝統は継承の素材であって由来ではなく、グル・ナーナクの啓示を固有の起点とする点に留意が必要である。

成立:15〜16世紀 / 根拠:W.H. マクロード『Guru Nanak and the Sikh Religion』(1968); ハルジョット・オベロイ『The Construction of Religious Boundaries』(1994)