NAR-0002 / 物語(Narrative) / カテゴリ:宗教

仏教

Buddhism

確度 A学術的定説
発生年代
前5世紀頃
発生地域
インド亜大陸
中核テキスト
(なし)
中核概念
ダルマ、救済、終末論
伝播経路
アショーカ王期(前3世紀)の支援を契機に亜大陸外へ広がり、スリランカ・東南アジアへは上座部系、中央アジアの隊商路を経て中国・朝鮮・日本へは大乗系、7世紀以降チベット・モンゴルへは密教系が伝わった。近代以降は移民と翻訳を通じて欧米にも定着した。
現在の信奉者規模
1億〜10億(Pew Research Center の2020年前後の推計で約5億人。中核テキストのパーリ三蔵・漢訳大蔵経は本表のTXTに未収録。東アジアでは複数の宗教実践が重層するため帰属人口の推計には幅がある。)
対抗物語
(なし)
現代への影響
東アジア・東南アジアの儀礼、死生観、美術に持続的な影響を残す。20世紀以降は瞑想実践が医療・心理療法の文脈で世俗的に再解釈され、国際的に普及した。

関連する関係レコード

習合 Syncretism 仏教 → 儒教 確度A

宋代の道学は華厳・禅の存在論と修養論を摂取し、理気論・心性論という形而上学を備えた新しい儒教(朱子学)を形成した。排仏を掲げつつ仏教的枠組みを内在化した点に習合の特質がある。

成立:11〜12世紀 / 根拠:島田虔次『朱子学と陽明学』; 荒木見悟『仏教と儒教』; Wm.T.ドバリー『朱子学と自由の伝統』

習合 Syncretism 仏教 → 日本の建国神話(記紀と万世一系) 確度B

本地垂迹説により記紀の神々が仏・菩薩の権現と解され、皇祖神を含む神話体系が仏教的世界観に組み込まれた。習合の主対象は神祇信仰全般であり、建国神話に限定した記述には留保が要る。

成立:8〜12世紀 / 根拠:黒田俊雄『日本中世の国家と宗教』(顕密体制論); 義江彰夫『神仏習合』

派生 Derivation ヒンドゥー教 → 仏教 確度B

業・輪廻・解脱という共通の問題設定はヴェーダからウパニシャッドに至る宗教的環境で形成され、仏教はそこから出家沙門の運動として分岐した。ただし当時「ヒンドゥー教」という統一体は存在せず、仏教はバラモン的祭祀と権威を批判する立場から出発したため、本エッジは後代の統一体を親とする主張ではなく、共通の宗教的地層からの分岐という水準の記述である。沙門的実践の起源をヴェーダ文化圏の外部(大マガダ)に求め、この系譜づけ自体を退けるブロンクホルストらの異説がある。

成立:前5世紀頃 / 根拠:リチャード・ゴンブリッチ『How Buddhism Began』; ヨハネス・ブロンクホルスト『Greater Magadha』; 中村元『インド思想史』

習合 Syncretism 仏教 → 神道 確度A

神仏習合により神々は仏・菩薩の垂迹あるいは護法善神として位置づけられ、神宮寺、宮曼荼羅、両部神道といった複合的な制度と教説が形成された。既存のREL-0022は同じ過程を建国神話(記紀の神話体系)に限定して記述したものであり、本エッジは神祇信仰全般を対象とするより広い水準にあたる(矛盾ではなく包含関係)。1868年の神仏分離令により制度としては解体された。

成立:8〜19世紀 / 根拠:黒田俊雄『日本中世の国家と宗教』; 義江彰夫『神仏習合』; マーク・テーウェン&ファビオ・ランベッリ編『Buddhas and Kami in Japan』

習合 Syncretism 仏教 → 道教 確度B

道教は仏教から経典編纂の形式、戒律、地獄や輪廻を含む宇宙論と救済論の語彙を摂取し、霊宝経群などに反映させた。他方で老子化胡説をめぐる論争や国家の場での仏道論争といった競合も並存したため、競合を伴う相互摂取として理解される(確度B)。既存のREL-0019は仏教と儒教の宋代における習合であり、対象の組が異なるため重複しない。

成立:4〜12世紀 / 根拠:吉岡義豊『道教と仏教』; エリック・チュルヒャー「Buddhist Influence on Early Taoism」; 神塚淑子『六朝道教思想の研究』

習合 Syncretism 仏教 → 檀君神話と韓民族の物語 確度B

檀君伝承を伝える現存最古の文献『三国遺事』は僧一然の編纂であり、天帝を「桓因(帝釈天)」と注記するなど仏教的語彙による枠づけがなされている。伝承そのものの起源は文献の成立より古いと考えられるため、習合は記録と解釈の層に限定される(確度B)。

成立:13世紀 / 根拠:一然『三国遺事』; 井上秀雄『古代朝鮮』; ジョン・ヨルゲンセン「Who Was the Author of the Tan'gun Myth?」

派生 Derivation 仏教 → 大乗仏教 確度B

初期仏教の教団内部から、菩薩として一切衆生の救済を目指す実践理念と、それを説く新たな経典群が生まれた。既存の阿含・ニカーヤの枠組みを継承しつつ、空の思想と仏身論を加えて教理を再編した派生である。

成立:前1世紀〜後2世紀頃 / 根拠:平川彰『初期大乗仏教の研究』; Paul Williams, Mahayana Buddhism: The Doctrinal Foundations

派生 Derivation 仏教 → 上座部仏教 確度B

部派仏教の一つである分別説部の系譜がスリランカで大寺派として定着し、パーリ語三蔵を伝承の中核とする形態が確立した。上座部という自己呼称は、初期教団の伝承をそのまま保持するという主張を含む。

成立:前3世紀〜前1世紀 / 根拠:Richard Gombrich, Theravada Buddhism; 馬場紀寿『上座部仏教の思想形成』