NAR-0071 / 物語(Narrative) / カテゴリ:建国神話

ドイツ国民の物語

The German National Narrative

確度 B有力だが異説あり
発生年代
1806年(神聖ローマ帝国の解体)〜1871年(ドイツ帝国の成立)/1945年以降の再定位
発生地域
西ヨーロッパ
中核テキスト
(なし)
伝播経路
ナポレオン戦争期の反発を契機に、ヘルダー以来の言語・民族精神の議論、フィヒテの講演、グリム兄弟の民話収集と文献学、体操運動や合唱協会といった結社を通じて拡散した。1871年の統一後は学校、徴兵、記念碑によって国家的に制度化され、1945年以降は分断国家の並立、1990年の統一を経て、過去への向き合い方(Vergangenheitsbewältigung)を軸に再構成された。
現在の信奉者規模
測定不能(国民的自己記述であり帰属人口の統計がない。文化・言語を基準とする国民理解(Kulturnation)と、市民的所属を基準とする理解の比重は時期により変動し、2000年の国籍法改正以降は出生地主義的要素が導入されている。)
現代への影響
記憶の文化、憲法パトリオティズム、移民統合政策の議論の枠組みを規定している。ヨーロッパ統合における自己抑制的な役割規定も、この物語の戦後的な再編と結びつけて論じられる。

関連する関係レコード

派生 Derivation ナショナリズムドイツ国民の物語 確度B

ナポレオン支配への反発を契機に、言語と文化を共有する集団が政治的統一の単位であるという定式がドイツ語圏で具体化した。ドイツは受容地であると同時にこの物語の形成地でもあり、輸入というより並行的な派生とみるのが妥当である。

成立:1806年〜1871年 / 根拠:エリック・ホブズボーム『ナショナリズムの歴史と現在』; Otto Dann, Nation und Nationalismus in Deutschland

派生 Derivation ドイツ観念論ドイツ国民の物語 確度B

フィヒテの『ドイツ国民に告ぐ』やヘルダー以来の言語=民族精神の議論が、教養(Bildung)を通じて国民が形成されるという文化国民の観念を供給した。歴史法学派と文献学がこれを学問的に制度化した。

成立:1807年〜1830年代 / 根拠:フィヒテ『ドイツ国民に告ぐ』; フリードリヒ・マイネッケ『世界市民主義と国民国家』

対立 Opposition フランス共和国の物語(自由・平等・友愛)ドイツ国民の物語 確度B

市民的意思による国民(Staatsnation)と、言語・文化による国民(Kulturnation)という二つの定義が、アルザス=ロレーヌの帰属問題を典型として対置された。両者は実際には相互に借用しており、類型的な対比は分析上の単純化を含む。

成立:1806年〜1918年 / 根拠:エルネスト・ルナン「国民とは何か」; フリードリヒ・マイネッケ『世界市民主義と国民国家』