NAR-0078 / 物語(Narrative) / カテゴリ:近代イデオロギー
環境主義
Environmentalism
確度 B有力だが異説あり
発生年代
19世紀後半(自然保護運動)/1962年(『沈黙の春』)/1972年(国連人間環境会議)
中核テキスト
伝播経路
自然保護区と鳥獣保護の運動から出発し、1960年代の公害問題と農薬批判を契機に大衆運動化した。1972年のストックホルム会議以降は国連の枠組み、国際環境NGO、緑の党という三つの回路で制度化され、南側では公害被害・土地収奪への抵抗として異なる系譜(環境正義、貧者の環境主義)を形づくった。
現在の信奉者規模
測定不能(運動への帰属を測る統一的統計がない。環境NGOの会員数や緑の党の得票率は部分的な指標にとどまり、市場手段を重視する潮流と成長批判を掲げる潮流では処方箋が大きく異なるため、単一の物語として集計することが難しい。)
対抗物語
現代への影響
気候変動枠組条約とパリ協定に至る国際交渉の言語を提供し、企業の情報開示や金融規制にも及んでいる。生態系の保全と貧困削減、エネルギー転換の公正さをどう両立させるかが現在の主要な争点である。
関連する関係レコード
工業化がもたらした大気・水質汚染と合成化学物質の拡散が可視化されたことで、自然保護の運動が産業体制そのものを問う物語へ転換した。『沈黙の春』と各地の公害事件がこの転換の結節点となった。
環境主義の内部から、効率改善による問題解決の見通しを疑い、物質・エネルギー消費の総量縮小を掲げる潮流が分岐した。生態経済学とイリイチの制度批判が理論的な接続点となっている。
蓄積と成長の継続を前提とする物語と、生態系の吸収能力に上限を置く物語の間で、成長と環境負荷の切り離しが十分な速度で可能かが争点となっている。市場手段による解決を志向する環境主義の潮流も存在するため、対立は全面的ではない。