NAR-0098 / 物語(Narrative) / カテゴリ:建国神話

ブラジルの人種民主主義

Brazilian Racial Democracy

確度 B有力だが異説あり
発生年代
1930年代(フレイレ『大邸宅と奴隷小屋』1933年)/1950年代以降の批判的検証
中核テキスト
(なし)
伝播経路
奴隷制廃止(1888年)後の国民統合の課題に対し、ポルトガル系・先住民・アフリカ系の混淆を国民の特質とみなす叙述が、ヴァルガス期の文化政策、教育、カーニヴァルやサッカーの国民的表象を通じて広まった。ラテンアメリカ各国の混血言説と共鳴し、対外的にはアメリカ合衆国の人種隔離との対比において自国像として提示された。
現在の信奉者規模
測定不能(国民的自己記述であり帰属人口の統計がない。1950年代のユネスコ人種関係調査、およびフロレスタン・フェルナンデスらの研究以降、「人種民主主義」は現実の記述ではなく不平等を不可視化する神話であるという批判が学術的に優勢となった。他方で、この語りが人種の境界を固定化しない社会編成を可能にした面を指摘する研究もあり、評価は完全には一致していない。)
対抗物語
(なし)
現代への影響
所得・教育・警察暴力に関する統計上の人種間格差が明らかにされ、2000年代以降は大学入学枠などの積極的差別是正措置が導入された。制度導入の過程では、人種を公式のカテゴリーとして用いること自体がこの物語との緊張を生み、社会的論争となった。

関連する関係レコード

輸入翻訳 Import / Translation ナショナリズムブラジルの人種民主主義 確度B

国民の同質性を求めるヨーロッパ起源の枠組みが、多様な出自の人口を抱える社会に適用される際、同質性の根拠を血統ではなく混淆そのものに求める形へ翻案された。ヴァルガス期の中央集権的な国民統合政策がこの翻案を制度化した。

成立:1930年代 / 根拠:ジウベルト・フレイレ『大邸宅と奴隷小屋』(1933); トマス・スキッドモア『Black into White』(1974)

対立 Opposition パン・アフリカニズムブラジルの人種民主主義 確度B

大西洋を越えた黒人の共通経験と連帯を語る枠組みが、ブラジルの黒人運動に、混淆による調和という国民の物語を検証する視座を与えた。1978年の統一黒人運動の結成以降、人種民主主義は達成された現実ではなく格差を不可視化する語りとして問い直された。

成立:20世紀後半 / 根拠:マイケル・ハンチャード『Orpheus and Power』(1994); フロレスタン・フェルナンデス『A integração do negro na sociedade de classes』(1964)