NAR-0047 / 物語(Narrative) / カテゴリ:近代イデオロギー

保守主義

Conservatism

確度 B有力だが異説あり
発生年代
1790年(バーク『フランス革命の省察』)/1830年代(政党名称としての定着)
発生地域
西ヨーロッパ
中核テキスト
(なし)
中核概念
主権国民階級
伝播経路
フランス革命への応答として、抽象的原理による社会の再設計に対し、歴史的に蓄積された慣習・法・中間団体の優位を説く言説が形成された。ウィーン体制期の大陸ヨーロッパでは正統主義として、イギリスでは保守党の綱領として制度化され、20世紀後半の米国では伝統主義・自由市場論・反共産主義が結合した潮流が形成された。
現在の信奉者規模
測定不能(政党支持率は各国に存在するが、思想への帰属を示す国際比較可能な統計はない。保守主義を一貫した思想体系とみなすか、変化への応答の様式(気質・態度)とみなすかで学説が分かれるため確度をBとした。中核テキストのバーク『フランス革命の省察』は本表のTXTに未収録。中核概念は慣習・時効・漸進性といった中心語彙が本表のCONにないため近似にとどまる。)
現代への影響
漸進的改革、中間団体の役割、制度の経路依存性を重視する議論は、政治理論と政策論の一角を占めている。何を保存すべき伝統とみなすかは各国の歴史的文脈により大きく異なり、単一の内容を指定できない点が特徴として指摘される。

関連する関係レコード

対立 Opposition 保守主義フランス共和国の物語(自由・平等・友愛) 確度B

抽象的原理に基づく社会の再設計を退け、歴史的に蓄積された慣習・団体・時効的な権利の優位を説く物語と、普遍的な人権と国民主権に基づいて制度を作り直す物語の対立。バークの1790年の著作がこの対立を定式化し、19世紀ヨーロッパの主要な政治対立軸となった。対立の直接の対象は革命期および第三共和政の共和主義であり、共和政一般への対立に一般化するには留保が要る。

成立:1790年〜19世紀 / 根拠:エドマンド・バーク『フランス革命の省察』; ジョゼフ・ド・メーストル『フランスについての考察』; カール・マンハイム「保守主義的思考」

派生 Derivation 保守主義ユーラシア主義 確度B

普遍的な近代化の経路を否定し、有機的に形成された共同体と固有の歴史的伝統に価値を置くロマン主義的保守の枠組みが、ロシアの位置づけをめぐる議論に取り込まれ、ユーラシアという文明単位の構想へ再編された。直接の媒介はスラヴ派とダニレフスキーの文明類型論であり、いずれも本表に独立項目がないため、本エッジは媒介項を省いた間接的な系譜の記述である(媒介項のNAR新設が今後の課題)。成立地域はNAR-0049と同じく、亡命先を含む西ヨーロッパを暫定的に参照している。

成立:1830年代〜1921年 / 根拠:ニコライ・ダニレフスキー『ロシアとヨーロッパ』; マルレーヌ・ラリュエル『Russian Eurasianism: An Ideology of Empire』; アンジェイ・ワリツキ『The Slavophile Controversy』

対立 Opposition 保守主義フェミニズム 確度B

既存の家族形態と性別役割を歴史的に蓄積された秩序として擁護する立場と、それを是正すべき不平等とみる立場が、参政権、家族法、生殖に関する権利をめぐって争点化した。ただし保守主義の内部にも女性の権利拡張を支持する系譜があり、対立は全面的ではない。

成立:19世紀後半〜現在 / 根拠:エドマンド・バーク『フランス革命の省察』; Ronald Inglehart & Pippa Norris, Rising Tide

習合 Syncretism 保守主義新自由主義 確度B

市場の自由化を求める経済的主張と、家族・宗教・国民といった伝統的権威の擁護は論理的には緊張を含むが、1970年代以降の英米では選挙連合として結合し、単一の政治的プログラムとして流通した。この結合の不安定さは、後の政治的再編の要因ともなった。

成立:1970年代〜1980年代 / 根拠:スチュアート・ホール "The Great Moving Right Show" (1979); ダニエル・ベル『資本主義の文化的矛盾』(1976)