NAR-0103 / 物語(Narrative) / カテゴリ:物語論

ポストコロニアル理論

Postcolonial Theory

確度 A学術的定説
発生年代
1978年(サイード『オリエンタリズム』)/1980〜90年代(サバルタン研究、バーバ、スピヴァク)
伝播経路
ファノンら反植民地主義の思想家のテクストを、フーコーの言説分析、デリダの脱構築、グラムシのヘゲモニー論と接合することで、英語圏の文学部を主要な制度的基盤として形成された。インドのサバルタン研究集団、カリブ海のクレオール化論、ラテンアメリカのデコロニアル論といった地域的な系譜と相互に翻訳されながら、歴史学、人類学、美術史、国際関係論へ広がった。
現在の信奉者規模
測定不能(学術的潮流であり帰属人口の統計がない。理論の主要な担い手が旧宗主国と北米の大学に位置することの構造的な意味、および難解な文体が対象とする人々から理論を切り離しているという批判(アフマド、ダーリク)は、分野内で継続的に議論されている。)
対抗物語
植民地主義
現代への影響
文学・歴史記述における表象の権力を分析する枠組みとして定着し、博物館の展示、大学のカリキュラム、開発援助の実務にも及んでいる。デコロナイズという語の一般化に伴い、制度改革の標語としての使用と理論的な厳密さのあいだに乖離が生じているという指摘もある。

関連する関係レコード

派生 Derivation オリエンタリズムポストコロニアル理論 確度A

「東洋」を語る知の体制を分析した手法が、対象と地域を拡張し、表象・主体・混淆を主題とする理論的分野として制度化された。バーバの擬態と両義性、スピヴァクのサバルタン論がこの拡張を担った。

成立:1980年代 / 根拠:ホミ・バーバ『文化の場所』(1994); ガヤトリ・スピヴァク「サバルタンは語ることができるか」(1988)

派生 Derivation 反植民地主義・脱植民地化ポストコロニアル理論 確度B

解放運動の実践的な言語が、独立後も残る従属と文化的支配を分析する学術的な枠組みへ翻訳された。ファノンの疎外の分析が理論の主要な源泉として繰り返し参照される一方、運動から理論への移行が政治的な鋭さを失わせたという批判も伴う。

成立:1980年代 / 根拠:フランツ・ファノン『黒い皮膚・白い仮面』(1952); アイジャズ・アフマド『In Theory』(1992)

対立 Opposition 植民地主義ポストコロニアル理論 確度B

支配を進歩や文明化として語る枠組みを、その語りの構造そのものを分析対象とすることで無効化しようとする関係にある。歴史記述、博物館の展示、教育課程の記述をめぐる現在の論争は、この対立の具体的な場となっている。

成立:1980年代〜現在 / 根拠:エドワード・サイード『文化と帝国主義』(1993); ディペシュ・チャクラバルティ『ヨーロッパを地方化する』(2000)