NAR-0001 / 物語(Narrative) / カテゴリ:宗教

一神教(アブラハム系)

Abrahamic Monotheism

確度 B有力だが異説あり
発生年代
前13世紀〜前6世紀(唯一神信仰の成立期。諸説あり)
中核テキスト
ヘブライ語聖書
中核概念
救済、終末論、主権
伝播経路
レヴァント地域の一神教的信仰が、離散したユダヤ教共同体、ローマ帝国下でのキリスト教の制度化、7世紀以降のイスラームの拡大という経路で西アジア・北アフリカ・ヨーロッパへ広がった。近世以降は交易・植民地化・宣教により南北アメリカ、サハラ以南アフリカ、東アジアにも到達した。
現在の信奉者規模
10億超(Pew Research Center の2010年代〜2020年代推計でキリスト教約24億人、イスラーム約19億人、ユダヤ教約1,500万人。合算は概数。唯一神信仰の成立時期については捕囚期成立説と早期成立説があり、発生年代の確度は低い。)
対抗物語
(なし)
現代への影響
世界人口の半数以上が三系統のいずれかに帰属し、暦・祝祭・法・生命倫理の議論枠組みに影響を残している。世俗国家における政教関係の制度設計も、この伝統との歴史的交渉の産物として論じられることが多い。

関連する関係レコード

派生 Derivation 一神教(アブラハム系) → 資本主義 確度B

禁欲的プロテスタンティズムの召命観と予定説が、利潤の体系的追求と再投資を宗教的に正統化する心性を生んだとする系譜。ウェーバー・テーゼは影響力が大きい一方で経済史側からの反証も多く、学説上争いがある。

成立:16〜17世紀(学説提示は1904年) / 根拠:マックス・ウェーバー『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』; R.H.トーニー『宗教と資本主義の興隆』

派生 Derivation 一神教(アブラハム系) → マニフェスト・デスティニー 確度B

ピューリタンの選民・契約・「丘の上の町」の摂理史観が、大陸拡張を神意とする世俗的使命の物語へ転換された。宗教的要素と地政学的・経済的動機の比重については解釈が分かれる。

成立:1630年〜1845年 / 根拠:アンダース・ステファンソン『マニフェスト・デスティニー』; ペリー・ミラー『Errand into the Wilderness』

習合 Syncretism 一神教(アブラハム系) → ヨルバ宗教(オリシャ信仰) 確度A

大西洋奴隷貿易によって新大陸へ運ばれたオリシャ信仰が、カトリックの聖人崇敬と対応づけられ、カンドンブレ・サンテリア(ルクミ)等の複合宗教を形成した。仮面説と真正な融合説の解釈差はあるが、習合の事実自体は確立している。

成立:16〜19世紀 / 根拠:ロジェ・バスティド『ブラジルにおけるアフリカ系宗教』; J.ロラン・メイトリー『Black Atlantic Religion』

習合 Syncretism 一神教(アブラハム系) → ウブントゥ 確度B

キリスト教の和解・赦しの神学とウブントゥの共同体的人間観が結合し、南アフリカの民主化と真実和解委員会を支える公共的言説となった(成立地域は南アフリカで、本表のREG項目に該当なし)。ウブントゥの伝統的内容と神学的再解釈の距離については議論がある。

成立:1990年代 / 根拠:マイケル・バトル『Reconciliation: The Ubuntu Theology of Desmond Tutu』; デズモンド・ツツ『No Future Without Forgiveness』

対立 Opposition 一神教(アブラハム系) → 永遠回帰の神話 確度B

儀礼による時間の更新と祖型の反復を軸とする古代的存在論と、不可逆の歴史のうちに神の働きを見る直線的な時間の物語との対比は、エリアーデ自身が学説の中心に据えた構図である。歴史的な当事者間の論争ではなく学説上の対比であり、また二分法そのものが単純化であるとの批判があるため確度はB。

成立:1949年 / 根拠:ミルチャ・エリアーデ『永遠回帰の神話』; ジョナサン・Z・スミス『Map Is Not Territory』(批判側); ダニエル・デュビュイソン『Twentieth Century Mythologies』(批判側)