NAR-0006 / 物語(Narrative) / カテゴリ:サピエンス
帝国
Empire
関連する関係レコード
農業余剰が非生産人口(官僚・軍・神官)を扶養可能にし、徴税と徴兵を通じた広域支配の正統化物語=帝国が成立した。国家形成の必然性については穀物課税可能性を重視する説と環境説があり、因果の強さには幅がある。新設のREL-0191(貨幣→帝国)により農業革命→貨幣→帝国という経路が生じるが、本エッジは扶養可能な非生産人口の規模という、貨幣を経由しない独立の機構を主張するため、記法補則v1.1により維持する。
対立 Opposition 帝国 → ネグリチュード 確度B
普遍的文明の担い手として支配を正統化する物語に対し、被支配側の文化的価値を積極的に反転させて対置した反植民地の物語。対立の射程は近代ヨーロッパ植民地帝国に限定され、帝国一般への対立とするには留保が要る。
探検・測量・博物学・統計・医学が帝国統治の道具として制度化され、同時に帝国が科学に資金・標本・実験場を供給する相互強化の複合が成立した。宗教的習合とは位相が異なる比喩的用法であり、種別の当てはめには判断が入る。
対立 Opposition 帝国 → トルコ共和国の物語(ケマリズム) 確度B
王朝的・宗教的正統性に基づくオスマン帝国の支配秩序に対し、ケマリズムは国民主権と単一不可分の共和国という原理を対置し、スルタン制(1922年)とカリフ制(1924年)を廃止した。対立の射程はオスマン朝という具体的な帝国秩序であり、帝国一般やイスラームへの対立として一般化するには留保が要る(成立地域はアナトリアで、本表のREG項目に該当なし)。
徴税台帳、命令文書、度量衡の記録により、統治者の直接の面前を越えて指令と徴収を反復する行政が可能となり、広域支配を正統化する物語=帝国の運用条件が整った。既存のREL-0004(農業革命→帝国)とは別系統の条件を示すものであり、いずれか一方を単独の原因とする主張ではない。新設のREL-0191(貨幣→帝国)により文字→貨幣→帝国という経路が生じるが、本エッジは記録と命令の遠隔反復という、計量尺度とは別の機構を主張するため、記法補則v1.1により維持する。
対立 Opposition 帝国 → パン・アフリカニズム 確度B
文明化の使命により広域支配を正統化する物語に対し、アフリカ系の人々の統一と自決を対置した反植民地の物語。1945年のマンチェスター会議は植民地支配の終結を明示的な綱領として掲げた。対立の射程は近代ヨーロッパの植民地帝国に限定され、帝国一般への対立とするには留保が要る(既存のREL-0018と同型の限定)。
欧米列強の植民地支配からの解放を掲げることで自己を正当化した点で、既存の帝国秩序に対する対抗の物語として定式化された。他方で占領地における資源動員と軍政は帝国的統治の形式を反復しており、この落差が歴史研究の主要な論点である。
対立 Opposition 帝国 → インドの建国神話(非暴力と多元主義) 確度A
植民地統治の正当性を否定し、非暴力の大衆運動によって主権を回復するという枠組みとして定式化された。統治側の秩序と文明化の語彙に対して、被治者の道徳的優位を主張する形をとった点に特徴がある。
対立 Opposition 帝国 → オリエンタリズム 確度B
帝国的統治を支えた地域知の生産様式そのものを分析対象に据えることで、統治と知の結合を可視化する批判として提示された。実証的な東洋学の成果を一元化しすぎているという反論があり、論争は継続している。
遠隔地を支配下に置く帝国の統治形式が、近代においては本国と海外領域を法的に区別し、人口の移住・強制移動と資源の一方向的な移転を組織する体制として再編された。近代の植民地主義は、資本主義的な生産と人種をめぐる分類の体系を伴う点で、それ以前の帝国支配と区別される。
銀の重量単位による計算貨幣は、収穫物の形態に依存しない徴税・貢納・俸給の共通尺度を与え、異質な産物と労働を単一の帳簿に通約することを可能にした。これにより、常備軍と官僚を土地の直接支給によらず維持する財政機構が成立し、前7世紀以降の鋳造貨幣は、兵士への給与支払いと納税義務を組み合わせて物資の調達を市場経由に転換することで帝国の動員力をさらに高めた。農業革命(REL-0004)が扶養可能な余剰を、文字(REL-0058)が記録と遠隔統治を与えたのに対し、本エッジは異質な資源を通約する尺度という別個の機構を記録する。ただし貨幣そのものが宮廷・神殿の会計と国家の租税債務から生じたとする表券主義の説明も有力で、因果は相互的であるため確度はB。